
キャベツにアブラムシ発生!被害の特徴と効果的な対策とは?
キャベツ栽培において、生産者の頭を悩ませる害虫のひとつに「アブラムシ」があります。
本記事では、キャベツに寄生するアブラムシの種類や発生原因、被害の特徴を詳しく解説し、効果的な防除方法をご紹介します。農薬を使った防除法はもちろん、天敵を活用した生物的防除など、初心者でも実践しやすい対策も取り上げます。キャベツの健全な生育を守るために、ぜひ参考にしてください。
キャベツに発生するアブラムシとは?
アブラムシの特徴と生態
アブラムシは体長1~3mmほどの小さな害虫で、植物の葉や茎に群がり、吸汁することで作物の生育を阻害します。単独では大きな影響を与えませんが、爆発的に増殖するため、放置するとキャベツの成長に深刻なダメージを与えます。キャベツに寄生するアブラムシには、「ダイコンアブラムシ」、「ニセダイコンアブラムシ」、「モモアカアブラムシ」などの種類があげられます。温暖な時期に発生して、一年に数十世代が経過するため、短期間に増えやすく、早期発見と対策が重要です。
キャベツのアブラムシ被害の特徴
アブラムシの食害による生育不良
アブラムシはキャベツの葉や茎に群がり、吸汁することで生育を阻害します。葉の縮れや変形、成長の遅れが見られ、ひどい場合は枯死することもあります。
ウイルス病の媒介リスク
アブラムシは「モザイク病」などのウイルス病を媒介する害虫でもあります。一度感染すると有効な治療法がなく、被害が拡大するため、アブラムシの発生を防ぐことがウイルス病対策の第一歩となります。
すす病の発生による品質低下
アブラムシの排せつ物は「すす病」を引き起こす原因となります。葉の表面が黒ずみ、光合成が妨げられて、生育を阻害し商品価値を著しく低下させるため、早期対策が必要です。
アブラムシの発生原因と注意すべき環境
温暖な気候で発生
アブラムシは気温が温暖になる春~秋にかけての発生が多くなります。固有の繁殖方法を持ち、通常、条件が良い環境では雌のみで繁殖。過密になったり、寄生した植物が衰弱したりすると、翅(はね)を持った雌が現れて、別の植物に移動・拡散します。一般的に、発生源となるのは、前年の秋に植物の芽などに産み付けられた卵です。一方、温暖な春~秋の好適な環境下では、毎日数匹~十数匹の子どもを産んで(胎生)、10日前後で成虫になるため、爆発的に数を増やします。
風通しの悪い栽培環境・窒素肥料の過剰施与
株が密集した風通しの悪い環境では、アブラムシが一気にその数をふやすため注意が必要です。また、窒素分の多い肥料を過剰に施用すると、葉や茎が大きく成長する一方で、植物の体内で合成されるアミノ酸が多くなりすぎてしまいます。すると、アミノ酸を好物とするアブラムシにとっては絶好の寄生場所になってしまいます。
雑草の放置による発生
畑やその周辺に雑草が生い茂ると、アブラムシの発生源となります。特にアブラナ科の雑草は、キャベツと同じくアブラムシの好む植物であるため、こまめな除草が必要です。
キャベツのアブラムシを防ぐ方法
防虫ネットやシルバーマルチの活用
アブラムシは飛来してキャベツに寄生するため、防虫ネットを設置することで物理的に侵入を防ぐことができます。ただし、アブラムシは非常に小さいため、目の細かい防虫ネット(0.6~0.8mm目合い)が効果的です。また、シルバーマルチを使用することで、光の反射を利用してアブラムシを寄せ付けにくくする効果があります。
天敵(テントウムシ・ヒラタアブ)の活用
アブラムシの天敵であるテントウムシやヒラタアブの幼虫を畑に定着させることで、自然の力を利用して防除が可能になります。農薬の過度な使用を控え、天敵の生息環境を守ることも大切です。
虫よけ効果のある植物の利用
アブラムシを寄せ付けにくい忌避植物(例:マリーゴールド、ネギ類)をキャベツと一緒に栽培することで、アブラムシの被害を軽減できます。
アブラムシの駆除方法
捕殺や水で洗い流す物理的対策
少数のアブラムシであれば、手で取り除くか、水を吹きかけて洗い流すことで被害を抑えることが可能です。
農薬(殺虫剤)を使った化学的防除
アブラムシが大量発生した場合、適用農薬を使用することで効率的に駆除できます。ただし、同じ農薬を繰り返し使用するとアブラムシが耐性を持ち、効果が低下するため、異なる有効成分の農薬をローテーションで使用することが推奨されます。
まとめ
キャベツに寄生するアブラムシは、作物の成長を阻害するだけでなく、ウイルス病の媒介やすす病の原因にもなるため、早期の対策が重要です。防虫ネットや天敵の活用、適切な農薬散布など、環境や状況に応じた防除方法を組み合わせることで、効果的にアブラムシの防除につながります。
執筆者情報

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。