白菜の根こぶ病とは?発生原因や予防対策を解説

白菜の根こぶ病とは?発生原因や予防対策を解説

白菜栽培における根こぶ病は、土壌伝染性の病原菌によって引き起こされる深刻な病気の一つです。

この記事では、根こぶ病の症状・発生条件から、再発を防ぐための予防策、そして土壌改良や農薬利用を含めた防除方法までを解説し、安定収穫と長期的な経営安定を実現するための実践的ポイントをご紹介します。

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根こぶ病とは?

病原菌の特徴

根こぶ病は、アブラナ科作物の根にこぶを形成する病害です。カビ(Plasmodiophora brassicae)の一種が病原となって引き起こされ、寄生された白菜の根は肥大して養分や水分の吸収が阻害され成長が止まります。一度発生すると、土壌中に7~10年以上にわたって生存する休眠胞子を形成するため、根絶が非常に困難な病害として知られています。

発病メカニズム

根こぶ病菌の休眠胞子は、土壌中の水分と温度条件、アブラナ科作物の根から分泌される栄養物質に刺激を受けて発芽し、植物の根毛に侵入します。感染した根の細胞では、運動性を持った遊走子と呼ばれる細胞が増殖して飛び出し、主根や側根の新しい部位に次々に広がって根にこぶを作ります。こぶの中では、病原菌が再び休眠胞子を形成し、こぶが崩壊すると土壌中に放出されて次の感染源となります。このサイクルを繰り返すことで、病気が徐々に圃場全体に拡大していきます。

経営への影響

根こぶ病は、白菜の生育を著しく阻害し、収量や品質を大きく低下させます。葉の萎黄(いおう)や萎縮(いしゅく)を引き起こし、結球が不十分なまま枯死に至ることもあります。また、一度汚染された圃場は長期間にわたって使用が困難になるため、農業経営にとって大きなリスクとなります。

白菜の根こぶ病の発生条件

温度条件・日長条件

根こぶ病菌は、地温が20℃前後で日照時間が長いと多発する傾向にあります。

高湿・酸性土壌条件

根こぶ病菌は、土壌が湿潤な状態や酸性の条件下で発病しやすい特徴があります。特に、pH5~6.5程度の酸性土壌では、病原菌の活動が活発化し発病が促される傾向にあります。

連作や排水不良圃場

アブラナ科作物の連作は、土壌中の病原菌の密度を高めることにつながり、根こぶ病の発生リスクを著しく増加させます。また、排水が悪い圃場は土壌が湿潤になりやすいため、病気が発生しやすい環境といえます。

白菜の根こぶ病の症状と見分け方

初期症状

根こぶ病の初期症状は、地上部では特に目立った変化が見られません。株の生育がやや遅れる程度で、日中の高温時に一時的にしおれる程度の症状が現れることがあります。この時点で根を抜いてみると、細い根に小さなこぶが形成されているのが確認できます。

進行症状

病気が進行すると、根全体に大小のこぶが形成され、ひどい場合は根全体がこぶに覆われます。これにより、養分や水分の吸収が阻害され、地上部では葉の黄化や萎縮、結球不良といった深刻な症状が現れます。

他病害との識別

根こぶ病と似た症状を引き起こす病害との見分け方を理解しておくことは、適切な防除を行う上で不可欠です。

ネコブセンチュウとの違い

根こぶ病はアブラナ科作物にのみ発生しますが、ネコブセンチュウは野菜類や花卉(かき)など、非常に幅広い作物に寄生します。また、根こぶ病のこぶは大型でツヤがあるのに対して、ネコブセンチュウのこぶは、小さく数珠状に連なるのが特徴です。

白菜の根こぶ病予防と発生抑制のための栽培管理

土壌pHの矯正

根こぶ病菌は酸性土壌で発病しやすいため、石灰などを施用して土壌のpHを調整することが重要です。pH7.2以上の弱アルカリ性の土壌にすることができれば、根こぶ病はほとんど発生しません。

排水改善

圃場の排水が悪いと、病原菌が活動しやすい湿潤な環境になりがちです。明渠(めいきょ)や暗渠(あんきょ)を設置して排水性を高めることが重要です。

連作回避

根こぶ病の発生を防ぐには、アブラナ科作物の連作を避けることが効果的な予防策の一つです。可能であれば、数年間は他の科の作物を栽培する輪作を行うようにしましょう。

健全苗の使用

根こぶ病が発生していない圃場で育苗した健全な苗を使用することで、病原菌の持ち込みを防げます。

白菜の根こぶ病の防除方法

太陽熱消毒

夏季の高温期に、太陽光で土壌の温度を上げ病原菌を死滅させる方法も有効です。圃場を潅水(かんすい)して十分に湿らせ、土壌の表面との間に隙間を作らないように透明マルチまたはビニールで覆います。20~30日程度そのままにし、栽培の直前にマルチなどを剝がします。元肥を施与して畝立てし、栽培がすぐできる状態にしてから消毒するのをお勧めします。

おとり作物の活用

土壌中に生存する根こぶ病菌の休眠胞子は、アブラナ科作物が栽培されることで発芽し、根に侵入します。そのため、根こぶ病に感染されても発病しないアブラナ科の「おとり作物」を栽培することで、土壌中の休眠胞子を減らして菌密度を下げる方法です。

農薬の選び方と使用方法

根こぶ病防除のための農薬には、土壌消毒剤や植穴処理剤などがあります。農薬の使用にあたっては、必ず登録内容を確認し、適切な使用時期と方法で散布することが重要です。

まとめ

白菜の根こぶ病は、適切な知識と対策によってその被害を大きく減らすことができる病害です。病気の原因や症状を理解し、栽培管理の改善、早期発見、そして適切な防除策を組み合わせることが重要です。

本記事でご紹介した内容を参考に、白菜栽培における根こぶ病対策を見直すきっかけにしていただけますと幸いです。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

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