
白菜のモザイク病・えそモザイク病とは?発生原因・予防・防除を解説
白菜のモザイク病・えそモザイク病は、収穫品質を低下させ収量を減少させる深刻な病気の一つです。
この記事では、白菜におけるモザイク病・えそモザイク病の発生原因から予防・防除方法までを解説し、安定収穫につながる実践的な情報をご紹介していきます。
白菜のモザイク病・えそモザイク病とは
モザイク病・えそモザイク病は、ウイルスが原因となって被害を与える病気です。モザイク病では、葉にモザイク状の濃淡が現れて奇形を生じる一方、えそモザイク病では葉に紫褐色のえそ条斑を生じます。原因となるウイルスは、それぞれTurnip mosaic virus(TuMV)、Cucumber mosaic virus(CMV)で、主に害虫によって感染し急速に広がります。
モザイク病・えそモザイク病の特徴と被害の影響
モザイク病では、葉の一部や全体が萎縮して奇形となるばかりか、葉の色は濃くなるとともに黄白色のモザイク状のふ入り症状が見られます。葉脈が透けるだけの軽い症状の株もある一方、生育初期に発病すると、生育不良となって結球もしません。
えそモザイク病では、葉脈や葉柄の上に水浸状、紫褐色のえそ斑点ができ、特に葉脈の間には1〜3mm程度の黒褐色の斑点が多数つくられます。このえそ斑点は結球内部にもできるため、生育後半に発病しても大きな被害になります。モザイク病・えそモザイク病ともに、被害が進むと収穫の際の正品率が低下するため、出荷量の減少を招く可能性があります。
白菜のモザイク病の発生原因
アブラムシ類による感染
モザイク病および、えそモザイク病ウイルスの主要な伝染源はアブラムシです。有翅型のアブラムシが飛来するなど、圃場周辺にアブラムシの繁殖する環境がないか注意しましょう。
接触伝染
モザイク病をはじめとしたウイルスは、作業者の手や農具、降雨や風による葉同士の接触でも感染が拡大します。
アブラナ科作物間での感染拡大
モザイク病および、えそモザイク病は、白菜だけでなく、カブ、ダイコン、コマツナなどの他のアブラナ科作物を広く侵すため、近隣圃場との作付計画にも配慮が必要です。
発生しやすい環境条件
ウイルスに感染した野菜や雑草からアブラムシの発生に合わせて、モザイク病・えそモザイク病が発生し広がるケースが多く見られます。特に白菜の生育初期とアブラムシの発生が重なる夏から秋にかけての栽培で被害が目立ちます。
予防と発生抑制のための栽培管理
アブラムシ防除
- 防虫ネット:目合0.6mm程度の細かい防虫ネットおよび寒冷紗で被覆し、飛来を防ぐ
- シルバーマルチ:アブラムシの嫌がる反射光を利用して寄り付くのを抑制
- 薬剤散布:アブラムシ発生初期に殺虫剤を散布して、繁殖を抑える
雑草除去と圃場衛生管理
周辺の雑草からアブラムシが侵入することも多いため、雑草の除去を徹底します。
発病株の早期除去と廃棄
発病を確認した株は速やかに抜き取り、圃場外で焼却または深く埋設します。
効果的な防除方法
農薬の選び方と散布タイミング
殺虫剤はアブラムシの発生に合わせて計画的に使用し、薬剤抵抗性が発達しないようローテーション散布を心がけます。
媒介虫発生予測と防除計画
地域の防除情報や気象条件をもとに、アブラムシの飛来時期を見極め、防除時期を適正化します。
まとめ
白菜のモザイク病は、発生すると収量と品質の両面に大きな損失をもたらすため、予防・早期発見・迅速な防除が経営の安定に不可欠です。
媒介害虫となるアブラムシの対策、発病株の早期除去を徹底して防除することで、安定した出荷体制と収益維持を実現できます。本記事でご紹介した内容を参考に、白菜栽培におけるモザイク病・えそモザイク病対策を見直すきっかけにしていただけますと幸いです。
執筆者情報

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。