経費削減が変わる? UNIRITAみらいファームの後片付け作業からの気付き
この春から収穫してきたUNIRITAみらいファームのミニトマトは、これまでの作付を終了して、新しく植替えの準備を行う時期になりました。暑さの酷い夏場は、作業者にも植物にも大変な時期なので、これを避け涼しくなる8月下旬を目安に次の作付を開始します。
さて先日、枯らした茎葉の後片付けを行ったのですが、そこで大きな気付きがありました。
片付け作業の手順は、茎に紐を固定している洗濯バサミ状の誘引クリップを外して回収し、誘引紐を解いて茎をハウス外に持ち出します。
その際、作業の進め方の違いによって、作業効率とかかる経費が異なることに気付きました。効率を優先すれば、誘引紐は消耗品と見なしてハサミで切って茎葉と一緒に搬出できますが、一方、誘引紐を切らずに回収すれば、片付け作業の時間は短縮できませんが、紐を後々購入するコストは抑えられます。
「どちらが経費の節減効果は高いのか?」について、この例では、あまり大きな差にならないかもしれません。しかし、ベジパレットを使って作業を記録し、かかった経費を登録することで、次回、改善するために異なる作業手順を実践して、その結果上手く行ったのか、経費の節減につながったのか、比較・検証することが可能になります。
私達のケースでは、異なる栽培様式(土耕栽培と養液栽培)を試験的に1つの圃場内で行っていたため、それぞれにかかる作業時間を直接比較することができました。すると、養液栽培の方が後片付けから次の定植までにかかるコスト(作業時間にかかる人件費)という観点では、安く抑えることが出来るのではないかとの気付きもありました(*)。
以前、農家さんが話されていた言葉に、「片付け作業のように、無くてはならないが直接的に売上や利益を生まない作業を、いかに効率よく終わらせられるかが重要」との指摘がありましたが、今になって身に染みて理解できます。
「農業×IT」で、私たちはこれからも自ら経験し、課題解決に向けた方策を検討していきます。
*補足:土耕栽培では、片付け後から定植までの間に土壌改良・肥料散布などの作業時間を要する一方、養液栽培ではこれらの作業は割愛され、これにかかる作業時間(人件費)が圧縮できます。もちろん、養液栽培の方が、液肥として、常時、肥料を施すことになるため、長期的に見れば、肥料代の負担が大きくなったり、その他の必要な資材の購入により経費が膨らむ懸念もあります。また、本来、「土耕栽培と養液栽培のどちらを採用するべきか」は、栽培のしやすさや収量性、収穫品質に食味、作業性など、総合的に判断して決める事です。作付け終了から次期作付けの定植までの労力に観点を絞れば、養液栽培を採用する方が経費の節減につながります。
執筆者情報
株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。