暖房対策:蓄熱材効果の“見える化”のお話
私たちの農場「UNIRITAみらいファーム」では、氷柱ができるほどの寒さが続いています。
10年に一度と言われる最強クラスの寒波で、各地の交通に影響も出ています。そんな寒波のなか農作物への影響も出ており、心の痛む報道も耳にします。
この時期、施設園芸農家は、燃料代の高騰によってかさむ暖房費に悩まされます。もっともよく使われる重油燃焼式の加温機では、一冬10a当たりの燃料代が100万円以上も費やされるという話も耳にします。栽培規模の大きい農業経営では、一冬に数百~1千万円もの栽培コストになります。その一方、掛かったコストを販売価格に転嫁できるかというと難しく、苦しい経営を強いられています。
この課題の解決には、既に多くの皆さんが実践していると思いますが、暖房の設定温度・稼働時間を最低限に抑えたり、被覆資材を三重にする工夫が考えられます。また、園芸用の蓄熱材を利用することで、ハウス内の温度が低下する夕方・夜間に、蓄えた熱を放熱させて暖房機の稼働時間を抑制し、燃料代を低減する方法もあります。蓄熱材メーカーが行った実証試験によれば、一冬当たり20~25%もの燃料代削減効果があるとされ、私たちもこの蓄熱材を利用して効果を検証しています。
蓄熱材は、ホッカイロのような「温かい」という、触れて分かる変化や、目に見えて分かる変化がありません。なので、私たちは、稼働状況をモニタリングするIoTセンサーを開発し、モニタリングを通じて「現在、どの位、省エネルギー効果があるのか」や「燃料削減効果があるのか」をデータで“見える化”し確認できるようにしています。IoTセンサーを通して、蓄熱材の効果が体感しやすくなれば、より多くの方々に利用されやすいものになると考えています。現在、センサーは実証段階です。実地テストで、磨いて叩き上げ、製品化を目指したい考えです。
引き続き、私たちは、「農業×IT」で、課題解決に取り組んで行きます。
執筆者情報
株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。