営農記録作業を継続させるカギは「目的設定」にあり
先日の投稿では、「農作業の記録の重要性と記録方法の簡素化」について検討しました。
特に翌年以降の同じ栽培においては、記録を残すことは過去の自分たちが実践したプロセスと結果を参考書のように活用できることから、やはり重要です。
しかし、私たちも「UNIRITAみらいファーム」での作業においては記録を取り続けながらも、継続することの大変さを感じているのも事実です。「記録の重要性が分かっていながらも、継続できない」この声は、多くの農業経営者の皆さまから聞かれます。
なかなか続けることができない農作業の記録、どうすれば、継続することができるようになるでしょうか。私たちが実践する方法の1つが、「記録の活用方法を先に考える」です。蓄積し続けている記録の活用に先ず注目すると、目的が明確になって、記録することへの抵抗感が少なくなると考えています。
例えば、「安定した収穫を実現するために、播種の時期や管理の方法を年ごとに見直す」ために活用するとしたら「どの年に、どの畑で、何月何日に播種し、収穫したのは、いつ頃、どれだけ」と言う記録は有効です。また、「(連作が中心の農業経営において)次は、いつ、土壌改良をしたらよいかを判断する」ために活用するケースでは、「いつ、どの畑に、何を、どのくらい土壌改良として行ったのか」の記録が判断の基礎になります。
「来年以降のために、なんとなく記録にしておこう…」では、記録を取る重要性が薄れ、実行に移しにくくなりがちです。また、細かい情報にするほど、作業の記録をつける手間が増加します。「細かすぎても続かないし、活用できない」と言うことであれば、まずは作業の種別を問わず、作物ごとに毎日の作業時間のみ記録を付けてみるのは、いかがでしょうか。
そうすることで、年間通して変遷する栽培作物の中で、「どの作物に工数(手間)がかかっているのか?」を明らかにすることができます。また、「どれ位の時間を要したのか?」に合わせて、「当該作物の売上額」を比較すると、意味深い指標の1つとして「栽培・出荷にかかった作業工数に対して、売上が大きいのか、小さいのか?」を作物ごとに判別できます。もちろん、作付面積にも左右されるので、補正が必要ですが、「作業工数に対する、売上の規模を通して、栽培・出荷効率の良い作物、悪い作物」を把握することを目的に、まずは作業時間のみ記録を取っていくのはいかがでしょうか。
私たちは、これからも、「農業×IT」で農業に関わる皆さまのお役に立てるよう努力して参ります。
執筆者情報
株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。