キャベツが腐る?軟腐病の症状と予防方法を徹底解説

キャベツが腐る?軟腐病の症状と予防方法を徹底解説

キャベツ栽培において、特に注意すべき病害の一つが「軟腐病(なんぷびょう)」です。

この記事では、キャベツ軟腐病の症状や発生原因を詳しく解説し、効果的な予防策や防除方法をご紹介します。特に新規就農者の方にも実践しやすい対策を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

データ活用で農業経営を改善する方法をご紹介!時間当たり農業所得をもとに経営を改善する方法とは? ノウハウ資料をダウンロード

キャベツの軟腐病とは?基本知識と症状

軟腐病の定義と特徴

軟腐病は、細菌によって引き起こされる病害で、多くの野菜や花など多様な植物に影響を及ぼします。病原となる細菌は、土壌中に広く存在する常在菌の一種であるため、どんな土の中にも存在するとされ、キャベツ以外にも、レタス、ダイコン、ハクサイなどにも発生しやすく、一度感染すると急速に広がる嫌な病気です。

キャベツに発生する軟腐病の主な症状

軟腐病の主な症状は以下の通りです。

  • 地表に接した葉の付け根や、葉、葉柄に淡い黄白色の浸水状の斑点ができ、軟化する
  • 斑点が次第に広がって、淡い褐色から褐色になって悪臭を放ち、腐敗が広がる
  • 感染部分が黒ずみ、組織が崩壊する

感染したキャベツは出荷できなくなるため、大きな経済的損失につながります。

キャベツの軟腐病の発生原因とリスク要因

軟腐病の特徴と被害の影響

軟腐病の病原菌は、土壌伝染のみならず、接触伝染します。根の周辺にある病原菌が、土壌に接触している部分から植物組織内に侵入したり、台風や降雨による泥の跳ね上がりによって、葉や茎などについて増殖したり、害虫(アオムシやヨトウムシなど)の食害痕や農作業の時にできた小さな傷口から侵入したりして感染します。

最初に症状が現れるのは、結球部の柔らかい葉の場合もあれば、地際の茎・根などから発生し始める場合もあります。また、一方、外葉から症状が出て枯れるケースや、外観は健全に見えるのに結球内が発病しているケースもあるため、早期発見には表面だけでなく、茎や地際部分の確認も重要です。

さらに厄介なことには、外葉だけが枯れているように見えて、無事だと思っていた結球内が軟化していることや、収穫時には症状がないのに、出荷後の流通過程で腐敗が進むことがある点です。

発生しやすい環境条件(気温・湿度・土壌状態)

軟腐病が発生しやすい環境は以下の通りです。

  • 初夏から秋にかけての高温時期(特に梅雨時期)
  • 多湿環境(過剰な雨や灌水による湿気)
  • 排水不良の畑
  • 連作による土壌の病原菌蓄積

キャベツ栽培で特に注意すべきリスク要因

軟腐病は、どんな土壌中にも潜む細菌であるため、土壌表面の水が跳ね上げられる台風や雨の後は注意が必要です。また、アブラムシやヨトウムシなどの害虫がキャベツを食害すると、その傷口から細菌が侵入し感染が広がるため、早期に防除を行う必要があります。密植によって風通しが悪くなると湿度が高まり、病原菌が繁殖しやすくなるため、適切な株間を確保して通気性をよくすることも重要です。

キャベツの軟腐病を防ぐための予防対策

連作の回避と土壌消毒

軟腐病は土壌中に病原菌が残るため、同じ圃場でキャベツを連作するとリスクが高まります。また、植え付け前の土壌消毒によって、土中の病原菌の密度を減らしておくことも有効です。軟腐病菌は、圃場周辺にある雑草の根圏でも増殖するため、雑草防除も重要です。

耐病性品種の利用

一部の品種では、軟腐病に耐病性を示す品種があるため、これらを利用することで、発病を遅くすることや、発病は許してしまうものの程度が軽く済むことになるため、有効です。

水はけの良い環境づくりと適切な湿度管理

排水不良の圃場では、土壌中の病原菌が活性化しやすくなります。畝を高くする、排水溝を設けるなどの対策を採り、水はけをよくすることが重要です。

発病株の早期除去と正しい処分

感染したキャベツはすぐに圃場外に持ち出し、焼却または深く埋めることが推奨されます。放置すると病原菌が飛散し、他の株へ感染が拡大する恐れがあります。

道具の消毒と衛生管理の徹底

作業で使用する農機具は定期的に消毒し、病原菌の拡散を防ぎましょう。消毒には次亜塩素酸カルシウム溶液やアルコール消毒が効果的です。

防除に有効な農薬

強い降雨や台風の後に発生することが多いため、降雨前後の殺菌剤の散布が効果的です。発病してからの農薬散布では効果が低いため、予防的に散布することが重要です。また、害虫による食害痕があると、そこから感染しやすくなるため、害虫の発生が確認される場合には早期の殺虫剤の散布が効果的です。

キャベツに軟腐病が発生した場合の対処法

初期段階での農薬散布の有効性

発病初期であれば、病気の進行を抑えることのできる農薬もあります。ただし、発病後では農薬の効果も低いため、予防的に散布して発病させない環境を維持するよう努める方が良いです。残念ながら、進行が進んだ株は完全に除去するより他にありません。

感染株の適切な除去と処分方法

感染したキャベツは周囲に病原菌を拡散させる可能性があります。焼却または畑の外に運び出して処分しましょう。

圃場の消毒と土壌改良による再発防止

病原菌は土壌中に残るため、次作の前に太陽熱消毒や土壌消毒剤を活用することが有効です。

まとめ

キャベツの軟腐病は、高温多湿の環境や傷口からの細菌感染によって発生しやすく、一度感染すると急速に広がる厄介な病害です。これを防ぐためには、排水対策や適切な湿度管理を行い、連作を避けるなどの基本的な栽培管理を徹底することが重要です。病害の発生を抑え、健全なキャベツ栽培を継続するために、日々の管理を徹底しましょう。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

お問い合わせ

ベジパレットに関するお問い合わせは
お気軽にお寄せください。

無料トライアル

ベジパレットの全ての機能を
無料で3カ月間お試しいただけます。

詳しい資料

ベジパレットの活用方法やユースケースがわかる資料を無料でダウンロードいただけます。