レタス栽培の大敵!アブラムシの被害と予防・駆除のコツ

レタス栽培の大敵!アブラムシの被害と予防・駆除のコツ

レタス栽培において、生産者の頭を悩ませる厄介な害虫の一つに「アブラムシ」があります。

この記事では、アブラムシの発生原因やレタスへの影響を解説し、効果的な予防策や駆除方法について詳しく紹介します。

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レタスのアブラムシ被害とは?発生しやすい条件と影響

アブラムシの生態と繁殖サイクル

アブラムシは体長1〜3mmほどの小さな害虫で、植物の汁を吸って栄養を奪い、生育不良を引き起こす害虫です。多くの種類が存在しますが、レタスに被害を及ぼすのは「モモアカアブラムシ」、「タイワンヒゲナガアブラムシ」、「チューリップヒゲナガアブラムシ」「ジャガイモヒゲナガアブラムシ」に「ワタアブラムシ」の5種類です。

アブラムシの最大の特徴は繁殖力の高さにあります。気候の温暖な春~秋に活発に活動して、通常、条件が良い環境では雌だけで単為生殖(交尾せずに繁殖)を行うため、短期間で爆発的に増殖します。一方、生息密度が過密になったり、寄生した植物が弱ってきたりすると、翅(はね)を持つ個体が現れて、風に乗って新しい圃場へと移動するため、一度発生すると広範囲に被害が広がる可能性があります。一般的に、発生源となるのは、前年の秋に産み付けられた卵や幼虫などで、それらが雑草などの植物に潜んで越冬する(種類にも寄る)ことで広がります。

アブラムシがもたらす被害とウイルス病のリスク

アブラムシがレタスに与える被害は主に以下の3つです。

吸汁による生育不良

アブラムシはレタスの葉や茎に口針を刺して汁液を吸い取ることで栄養を奪います。その結果、葉がしおれたり、黄変したりするなどの生育不良が発生し、成長が遅れる原因となります。

ウイルス病の媒介

モザイク病等のウイルス病を媒介することで、レタスの品質に大きな影響を与えます。ウイルスに感染したレタスは葉が縮れたり、まだら模様ができたりするため、出荷できなくなることが多くなります。一度ウイルスに感染すると治療が困難なため、アブラムシの発生を予防することが最も重要な対策となります。

すす病の発生

アブラムシは甘露(かんろ)と呼ばれる糖分を含んだ排せつ物を分泌します。この甘露が葉の表面に付着すると、すす病菌が繁殖して、葉全体を黒ずんだ見た目にしてしまう他、葉を縮れさせるなど、出荷品質への影響を及ぼします。

レタスにアブラムシが発生する原因

繁殖を加速させる要因:雨の少なさ

アブラムシは温暖な環境を好むため、真夏を除いた春~秋に増殖しやすい傾向があります。梅雨明けや秋口などの乾燥した気候は、雨による洗い流しが少なく、アブラムシにとって個体数を増やしやすくさせます。

窒素肥料の過剰施用がアブラムシを引き寄せる

窒素肥料を多く施すと、生育が軟弱になるばかりか、窒素過多によって、植物体内で合成されるアミノ酸が多くなり過ぎて、アミノ酸を好物とするアブラムシの増殖を助長します。そのため、肥料管理は適切に行い、窒素肥料の施用量を調整することが重要です。

密植・風通しの悪さが発生リスクを高める

株が密集した風通しの悪い環境では、アブラムシが一気にその数をふやすため注意が必要です。特に密植すると、葉と葉の間に隠れて、アブラムシが繁殖しやすくなるため、適切な株間を確保することも大切です。

アブラムシの予防対策|発生を防ぐための管理方法

物理的防除

  • 防虫ネット:目の細かい防虫ネット(0.6~0.8mm目合い)を利用することでアブラムシの飛来を防ぐことができます。
  • シルバーマルチ:アブラムシが嫌がる光の反射を利用して、アブラムシの寄生を抑制できます。

天敵の活用

アブラムシの天敵であるテントウムシやヒラタアブの幼虫を畑に定着させることで、自然の力を利用して防除が可能になります。農薬の過度な使用を控え、天敵の生息環境を守ることも大切です。

レタスに発生したアブラムシの駆除方法

水を使った除去方法・捕殺

葉裏にいるアブラムシは、強めの水圧で洗い流すだけでも数を減らすことが可能です。定期的に水やりの際に実施すると、発生の抑制につながります。また、少数のアブラムシであれば手で取り除くことで対処可能です。

農薬(殺虫剤)を使った化学的防除

アブラムシが大量発生した場合には、適用のある農薬を使用することで効率的に駆除できます。ただし、種類にもよりますが、薬剤抵抗性を発達させやすいため、異なる有効成分の農薬をローテーションで使用することが推奨されます。

まとめ

アブラムシは繁殖力が高く、放置すると短期間で圃場全体に広がってしまいます。そのため、防虫ネットやシルバーマルチ、天敵利用などの予防策を組み合わせ、早期発見・早期対策を徹底することが重要です。本記事を参考に、実践しやすい防除方法をお試しください。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

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