
白菜のアブラムシ被害を防ぐ!予防と駆除方法
白菜栽培において、アブラムシは深刻な被害をもたらす害虫の一つです。
この記事では、白菜に発生するアブラムシの生態と被害、効果的な防除方法についてご紹介します。
白菜栽培におけるアブラムシの脅威
白菜に発生する主なアブラムシの種類と生態
アブラムシは、体長1~4mm程度の小さな昆虫で、日本には700種類以上が生息していると言われています 。そのうち、白菜に被害をもたらす主な種類としては、以下の3種類が挙げられます 。
- モモアカアブラムシ
- ニセダイコンアブラムシ
- ダイコンアブラムシ
アブラムシは、気候の温暖な春~秋に活動が活発になり、通常、条件が良い環境では雌だけで単為生殖(交尾せずに繁殖する)を繰り返します。そのため、短期間で爆発的に数を増やします。一方で、生息密度が過密になったりすると翅(はね)を持つ個体が現れて、他の圃場へ移動して繁殖したり、移動先の場所で卵を作って越冬したりするなど、一度発生すると広範囲に広がる可能性があります。
アブラムシが引き起こす被害とリスク
アブラムシが白菜に与える被害は主に以下の3つです。
吸汁による生育不良
葉や茎の汁を吸って栄養を奪うことで生育を阻害します 。その結果、白菜の葉が萎縮して変形したりし、品質や商品価値が低下します 。
ウイルス病の媒介
アブラムシがより深刻な問題とされる最大の理由は、ウイルス病を媒介することにあります 。ウイルス病に感染した白菜は葉の色がまだらに白く抜けたり、葉がちぢれたりして品質が著しく低下するため、ウイルス感染にも十分注意する必要があります。
なぜアブラムシは防除が難しいのか?
アブラムシの防除は、その生態的特徴から非常に困難です。
高い繁殖力と短期間での大発生
アブラムシは1匹の雌から数百匹の子供が生まれるほど繁殖力が強く、わずか数日で大発生することがあります 。このため、少しの油断が大きな被害につながる可能性があります。
薬剤耐性の発達
同じ系統の農薬を繰り返し使用すると、アブラムシがその成分に対する耐性を持ち始め、薬剤が効かなくなることがあります 。これにより、防除効果が落ち、被害が拡大する悪循環に陥るケースが見られます。
隠れる習性
白菜の結球内部や葉の裏側に隠れて生息することが多いため、目視での発見が難しく、薬剤散布の効果も届きにくいことがあります 。
アブラムシの予防対策
物理的防除
防虫ネット
圃場全体を防虫ネット(0.6~0.8mm目合い)で覆うことで、アブラムシの飛来を防ぐことができます。ただし、ネットの隙間から侵入するリスクもゼロではないため、隙間を作らないよう注意することが必要です。
シルバーマルチ
アブラムシの嫌がる反射光を利用して、アブラムシが寄り付くのを抑制できます。
雑草の除去
アブラムシは周囲の雑草を隠れ家や繁殖源とすることが多いため、圃場周辺の雑草を定期的に除去することが重要です 。
天敵の活用
アブラムシの天敵であるテントウムシやクサカゲロウ、ヒラタアブの幼虫を定着させることで、自然の力を利用した防除が可能になります。ただし、安定した効果を得るためには環境条件を整える必要があり、農薬の過度な使用を控える必要があります。そのため、大規模な圃場において効果を出すには難しい場合もあります。
白菜に発生したアブラムシの駆除方法
農薬(殺虫剤)を使った化学的防除
小まめな防除を実践して、アブラムシが大発生する前に繁殖させないのが基本です。近年、薬剤抵抗性を持ったアブラムシが増加しているとの報告もあります。アブラムシに薬剤耐性を発達させないためには、異なる作用機序を持つ薬剤を順番に散布する「ローテーション散布」が推奨されます。
水を使った除去・捕殺
栽培規模によっては、葉裏にいるアブラムシを強めの水圧で洗い流すのも有効です。定期的に水やりの際に実施すると、発生の抑制につながります。また、少数のアブラムシであれば手で取り除くことでの対処も可能です。
まとめ
この記事では、白菜栽培において課題となるアブラムシの被害と対策、防除方法について紹介しました。アブラムシは、繁殖力が高く短期間で爆発的に増えるばかりか、薬剤耐性を発達させて農薬に耐性を持つなど厄介な害虫です。本記事を参考に、実践しやすい防除方法をお試しください。この記事で紹介した対策が、より良い農業経営の一助となれば幸いです。
執筆者情報

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。