
白菜における白さび病とは?症状・原因・効果的な予防方法を徹底解説
白菜の栽培において、「白さび病」は収量や品質を損なう深刻な病害の一つです。
この記事では、白菜の白さび病の症状や原因から、具体的な予防・対策方法までを詳しく解説します。
白菜の白さび病とは?
白さび病は、Albugo属に分類される糸状菌(カビ)が原因で発生する病害です。白菜の他にキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の植物を中心に感染し、白菜の品質と収量に大きな影響を与えます。葉に特徴的な白いカビや斑点を生じさせ、ひどくなると葉全体が変形したり枯れたりすることがあるため早期の発見と対策が重要です。
白さび病の主な症状と見分け方
白さび病の症状は、主に葉の表面と裏面に現れます。
葉の裏面
白さび病の初期症状は葉裏に白色で不整形の小さな斑点が現れることから始まります。のちにその表皮が破れて白色の粉状物が現れます。
葉の表面
葉の表面は、葉裏に現れた病気の症状が進むにつれて、葉の緑色が薄れて病気周辺に不明瞭な黄色の輪紋が見られるようになります。
白さび病が発生しやすい条件と原因
白さび病は、特定の条件下で発生しやすい傾向にあります。その原因を理解することで、予防策を立てることができます。
胞子が飛散するメカニズム
圃場周辺の植物残渣や宿主となるアブラナ科作物の組織内に菌糸また卵胞子の状態で生存(越冬または越夏)し、生育適温になったら胞子のうを形成して胞子を飛散、空気伝染します。葉に現れる白色の粉状物は、病原菌の胞子のうで、次々と感染を広げます。
湿度の高い環境と密植による影響
白さび病は、一般的に湿度の高い環境で発生が促されます。また、株間が狭い密植状態では、湿度が高くなりやすく、病原菌が繁殖するのに適した環境が作られてしまいます。
白菜の白さび病の効果的な防除対策・対処法
白さび病の被害を最小限に抑えるには、発生を未然に防ぐことが最も効果的です。ここでは、具体的な予防策と対策について解説します。
発生を防ぐための圃場管理のポイント
排水性の改善と適切な畝(うね)立て
水はけの悪い圃場は、土壌が常に湿った状態になり、白さび病の病原菌が繁殖しやすい環境となります。高畝にして排水性を高めること、また圃場周囲に排水溝を設けることなどが有効です。
適切な株間を確保する密植回避
白菜の密植は、風通しを悪くし湿度を上げる原因となります。適切な株間を確保することで、葉が乾きやすくなり、白さび病の発生を抑制することができます。
適切な作付計画と肥培管理
輪作を実施してアブラナ科作物の連作を避けることで、菌密度を低下させると、発生の抑制につながります。また、窒素肥料の多用は、ハクサイの生育を軟弱にさせて病気にかかりやすくなってしまうため注意が必要です。
発生初期の対処法と拡大を防ぐためのアクション
もし、白さび病が発生してしまった場合、迅速な対応が被害の拡大を防ぎます。
早期発見のための定期的な観察
葉の裏面を中心に、定期的に白菜を観察することが大切です。特に、降雨後や朝露の多い時期には、注意深くチェックすることで初期症状を見逃さず、早期に対処できます。
感染した株の適切な処理方法
感染が確認された株は、すぐに圃場から取り除き、適切に処分することが重要です。圃場に放置すると、病原菌の新たな感染源となってしまうため、袋に密封して焼却処分するなど、適切な方法で処理しましょう。
予防と対策に役立つ農薬の選び方
農薬は白さび病の予防と対策に重要な役割を果たしますが、選び方や使い方には注意が必要です。
農薬の種類と効果的な散布時期
白さび病に効果のある農薬には、予防効果の高いものと、治療効果も期待できるものがあります。病気の発生前や初期に予防的な散布を行うことで、効果を最大限に引き出すことができます。
抵抗性の発達を防ぐためのポイント
同じ種類の農薬を連続して使用すると、病原菌に抵抗性が発達してしまうことがあります。異なる作用機序を持つ複数の農薬をローテーションで使用することで、抵抗性の発達を防ぎ、農薬の効果を維持することができます。
まとめ
白菜の白さび病は、適切な知識と対策によってその被害を減らすことができる病害です。病気の原因や症状を理解し、栽培管理の改善、早期発見、そして適切な農薬の活用を組み合わせることが重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、白菜栽培における白さび病対策を見直すきっかけにしていただけますと幸いです。
執筆者情報

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム
ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。
日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。