トマト農家必見!カメムシ被害の症状と効果的な駆除・予防法

トマト農家必見!カメムシ被害の症状と効果的な駆除・予防法

トマト農家にとって、カメムシ被害は品質や収穫量を大きく左右する重要な課題です。果実の変色や形状の異常など、カメムシがもたらす被害は見逃せません。特に夏から秋にかけては発生が増えるため、早めの対策が必要です。

本記事では、カメムシ被害の症状や発生時期、駆除・予防の方法を詳しく解説します。効果的な対策を取り入れ、大切なトマトを守りましょう。

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トマトのカメムシ被害による症状

カメムシがトマトに与える被害は、目に見える品質の低下だけでなく、収穫量の減少や市場価値の大幅な低下につながります。以下では、具体的な症状について詳しく解説します。

果実の変色と内部への影響

カメムシが果実に吸汁した場合、その部分に明らかな変色が現れます。また、外見だけでは分からない変化も見られます。

変色の範囲

吸汁された箇所は最初に小さな斑点状の変色が発生し、その後徐々に広がります。

変色の種類

斑点状の小さな黄褐色が暗褐色に変色して腐ったりします。反対に周囲が白っぽく退色して着色が悪くなることもあります。

果実内部の影響

外見だけでなく、果肉も部分的に硬化する場合があります。一方で、果実が柔らかくなって腐るものも散見されており、これらの多くは果肉がスポンジ状になってスカスカになってしまいます。市場出荷を前提としたトマトの場合、変色は致命的な欠陥となるため注意が必要です。

形状の異常

カメムシがトマトの成長初期に吸汁すると、果実が異常な形状に成長することがあります。この症状のメカニズムは以下の通りです。

成長阻害

吸汁箇所の組織が正常に成長できなくなってゆがんだり、不規則な凹凸を持つ形状になったりします。

果皮の硬化

吸汁部分の皮が硬くなり、その部分だけ伸びが止まることで形状がいびつになります。

このような形状異常は、見た目の美しさを重視する消費者向け市場では特に問題となります。

カメムシの発生が多い時期とその条件

カメムシの発生は、気候条件や環境要因に大きく影響されます。そのため、トマトを栽培する際には、以下の要素を考慮することが重要です。

発生が多い時期

カメムシの発生は、越冬した個体が産卵して数を増やすため一般的には7月から10月頃に集中します。この時期は、以下の要因がカメムシの活動を促進します。

気温

20〜30℃程度の高温環境がカメムシの生息に適しています。このため、夏から秋にかけて活動が活発化します。

果実の熟成

トマトが熟し始める収穫期に、カメムシが寄りつく傾向があります。成熟中の果実は甘みが増すため、カメムシを引き寄せる要因となります。

発生を助長する環境条件

特に以下の条件がそろうとカメムシの発生が目立ちます。 

雑草や樹木・マメ科 / イネ科作物の圃場が近い環境

カメムシは周辺の雑草やマメ科・イネ科植物で繁殖してトマト圃場に移動してくることも多いです。そのため、周辺にそれらの環境がある場合は注意が必要です。

湿度の高い状況

梅雨前後の湿度が高い時期(5月下旬~8月)に産卵を繰り返して繁殖します。

栽培環境の密集

トマトの栽培スペースが密集し、風通しが悪い環境ではカメムシの繁殖リスクが高まります。

このため、収穫期に入る前に予防策を講じることが大切です。 

トマトについたカメムシを駆除する方法

カメムシを駆除する方法には、多様な選択肢があります。以下に具体的な駆除方法を詳しく解説します。

手作業での駆除とそのタイミング

カメムシがまだ少数の場合や薬剤を使いたくない場合には捕まえて駆除する捕殺が有効です。直接、捕まえたくない時は、株全体をゆすって地面に落とし、踏みつぶして駆除することも効果的です。

早朝または夕方に作業を行う

カメムシは日中の暖かい時間帯に活発に動き回りますが、早朝や夕方の涼しい時間帯は動きが鈍くなります。この時間を狙って駆除作業を行うと、効率良く捕獲できます。特に夏場の早朝は、活動が落ち着いているため作業がしやすいタイミングです。

手袋を着用して取り除く

カメムシは触ると悪臭を放つため、直接捕まえる場合には、必ず厚手の手袋を着用して行いましょう。特に耐水性や防臭機能のあるゴム製の手袋がおすすめです。

殺虫剤の使用と注意点

即効性を求める場合には、市販の農薬(殺虫剤)を使用することが有効です。ただし、作物に適した製品を選び、使用方法を正しく守る必要があります。

トマトに適した製品を選ぶ

トマトに使用可能な殺虫剤でカメムシに適用のある農薬を選びます。製品ラベルに記載されている適用作物や使用量・希釈倍率を確認しましょう。また、収穫を控えた時期である場合には、薬剤使用における収穫前日数を確認の上、使用しましょう。

環境への配慮

近隣農地や水路への飛散を防ぐため、風が強い日や雨の日には散布を控えます。

トマトをカメムシの被害から守る予防策

カメムシ被害を未然に防ぐためには、日頃からの予防策が欠かせません。環境を整える工夫や物理的な対策、そして忌避方法を組み合わせることで、効果的にカメムシの侵入を防ぎます。

環境を整える予防法

トマトの栽培環境を整えることは、カメムシ被害を防ぐ基本的な対策です。風通しを良くするためには、トマトを植える間隔を広めに取り、葉が込み合っている場合は摘葉しましょう。また、湿気を防ぐために畝を高くするのも効果的です。さらに、畑の周囲に生える雑草や落ち葉はカメムシの隠れ家となるため、定期的に除去して清潔な環境を保つことが重要です。

物理的な防除策

防虫ネットを使用することで、カメムシがトマトに直接触れるのを防ぐことができます。目の細かいネットをトマト全体に覆い、隙間を作らないように注意しましょう。また、カメムシが嫌うミントやローズマリーなどの植物をトマトの周りに植えると、侵入を抑える効果が期待できます。これらの植物は手軽に取り入れることができ、見た目にも栽培環境を彩ってくれます。

効果的な忌避方法

自然由来の忌避剤を使うのもカメムシ対策として有効です。木酢液や竹酢液を希釈してトマトの葉や茎に散布すると、カメムシを遠ざける効果が期待できます。晴れた日の早朝や夕方に散布すると、液が乾きやすく持続効果が期待できます。週に1〜2回程度を目安に繰り返し散布することで忌避効果が高まります。また、ハッカ油や唐辛子を使ったスプレーも手軽で効果的です。

トマトに被害を与えるカメムシ・そうでないカメムシ

カメムシのすべてが害虫というわけではなく、トマト栽培に役立つ「益虫」も存在します。

益虫となるカメムシ

カメムシ類の中でも、以下のようなカメムシは、アブラムシやアザミウマ類・コナジラミ類を捕食するため、トマト栽培における益虫として期待できます。

  • ヒメハナカメムシ類
  • タバコカスミカメ

これらのカメムシを守るためには、無差別な殺虫剤の使用を避けるべきでしょう。

害虫となるカメムシ

一方、以下のようなカメムシは、トマトに直接的な被害を与えるため、防除対象とすべきです。

  • ミナミアオカメムシ
  • アオクサカメムシ
  • ホオズキカメムシ
  • クサギカメムシ
  • ブチヒゲカメムシ

まとめ

カメムシ被害を防ぐためには、予防と駆除を組み合わせた戦略的な取り組みが重要です。特に新規就農者や若手農家の皆さんには、この記事で紹介した方法を取り入れて、大切なトマトを守っていただきたいと思います。収穫量と品質の向上を目指し、日常の観察や環境管理を徹底しましょう。あなたの努力が、より豊かな収穫につながるはずです。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

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