トマト栽培でヨトウムシ発生!原因と防止策を徹底解説

トマト栽培でヨトウムシ発生!原因と防止策を徹底解説

トマト栽培を行う中で、生産者が直面しやすい問題の一つが「ヨトウムシ」による被害です。この記事では、ヨトウムシ類の特徴や被害の実態を詳しく解説し、初心者でも実践可能な予防策や駆除方法を紹介します。効率的な対策を講じて、大切な作物を守りましょう。

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ヨトウムシ類とは

ヨトウムシ類は、チョウ目ヤガ科のガの仲間で、野菜や花、果樹などの多くの作物に被害をもたらす害虫です。その名前は、夜間に作物を食害する様子が「夜盗(夜に盗む)」に似ていることからきています。成虫(ガ)の体長は10~20mmで、老齢幼虫(芋虫)では30~50mm。被害を与えるのは幼虫だけで、昼間は葉の裏や土中に潜んでいて、夜になると活動します。ヨトウムシ類は、類似した多くの種類がいて、トマト栽培で問題になるのは主に以下の3種類です。

  • ヨトウガ
  • シロイチモジヨトウ
  • シロイチモジヨトウ

気候の異なる西日本と東日本で異なりますが、年間の発生回数は2~5回(種類によっても異なる)。露地では、幼虫またはさなぎで越冬した個体が4~5月に羽化して成虫となり、植物の葉裏に産卵します。雌1頭が生涯に産卵する数は、平均1,000粒(種類によっても異なりますが、多い種類では2,000~3,000粒)。一回あたり数十~数百粒の卵塊を産み落とします。ふ化した幼虫は集団で植物を加害するため、トマトの株に卵を産み付けられた場合の被害は甚大です。

ヨトウムシ類の発生時期・原因

ヨトウムシ類が発生しやすい条件

暖かく温暖な時期

オオタバコガなどの他の害虫と同じく、さなぎで越冬した個体が温暖な時期になって羽化して成虫となり、卵を産み付けることで作物への被害が増えて行きます。そのため、種類によって違いはあるものの、春~秋に発生して加害します。

草や雑草の放置

ヨトウムシ類は、雑草や地面付近の植物に産卵する習性があります。圃場や周辺に雑草が放置されていると、産卵しやすい環境となり、幼虫が大量発生する原因となります。

植え付け前の土壌管理

ヨトウムシ類の幼虫やさなぎは土壌内で過ごす時期があるため、植え付け前に耕運していない圃場や、土壌消毒を行っていない場合には発生リスクが高まります。

ヨトウムシ類による被害とその特徴

被害の初期症状

ヨトウムシ類による被害は、初期段階で発見し対処することで、被害の拡大を防ぐことが可能です。以下に被害の初期症状としてよく見られる特徴を挙げます。

幼虫の成長過程で異なる食害痕

ふ化した直後の幼虫は、集団で葉裏を食べ、その部分が透けて白っぽくなります。一方、大きくなった老齢幼虫は、あちこちに散らばって猛烈に食べて葉をボロボロにするため、食害の初期には葉が不自然に欠けたり、小さな穴が開いたりします。

昼間は土壌や葉の裏に隠れる

ヨトウムシ類は夜行性であり、昼間は土壌や葉の裏に潜んでいることが多いため、日中の観察では、その姿を発見できないことも多くあります。葉の裏や周辺の土壌をしっかりとチェックすることが重要です。

被害が進行した場合の影響

ヨトウムシ類の被害を放置すると、幼虫が成長して被害の規模が大きくなります。

果実への食害

ヨトウムシ類の幼虫は、老齢期に達すると果実も食害の対象になります。トマト果実の表面や内部を食べるため、商品価値が大幅に低下します。

株全体の枯死

ヨトウムシ類が茎を食害することで、トマトの株全体が栄養や水分を吸収できなくなり、枯死するケースがあります。その結果、収穫量が大幅に減少する可能性があります。

次作への被害拡大

ヨトウムシ類は、羽化して成虫になると、再び卵を産み付け幼虫が大量発生します。このサイクルを放置すると、圃場全体に被害が広がり、駆除が難しくなります。

ヨトウムシ類の予防方法

土壌管理と消毒

幼虫やさなぎが潜む可能性があるため、植え付け前の土壌を耕し、必要に応じて消毒を行いましょう。薬剤を使用した土壌消毒のほか、太陽熱を利用した太陽熱土壌消毒、米ぬか(小麦のぬか)などの有機物を土壌に混ぜて消毒する土壌還元消毒も有効です。

防虫ネットやフェロモントラップの活用

成虫の侵入を防ぐために防虫ネットを設置し、フェロモントラップで成虫の捕獲を行います。また、ガの性質を利用した侵入防止方法もあります。

防虫ネットの設置

ヨトウムシ類の侵入を防ぐために、圃場全体やトマトの周囲に防虫ネットを設置します。ネットは目の細かいもの(0.6~1mm)を使用して隙間なく覆うことで、ヨトウムシ類の成虫(ガ)や老齢幼虫の侵入を防ぐ効果があります。

フェロモントラップの活用

フェロモントラップは、ヨトウムシ類の成虫(ガ)のオスをおびき寄せて捕獲する装置です。これにより、繁殖を防ぎ幼虫の発生を抑制することができます。圃場内の複数箇所に設置し、定期的にチェックして捕獲状況を確認しましょう。

黄色蛍光灯の活用

ヨトウムシ類の成虫は夜間に活動して植物の葉に産卵します。その性質を利用して、夜間に圃場周辺に黄色蛍光灯を設置して昼間と勘違いさせて行動を抑制し、圃場への侵入を防ぐ方法もあります。

草木灰や木酢液の活用

草木灰を根元にまくことで食害を防ぎ、発生初期には防虫剤を適切に散布します。

草木灰の活用

草木灰は、防虫効果を持っています。植え付け前や作物の根元にまくことで、ヨトウムシ類の幼虫の食害を抑える効果があります。また、自然由来の素材であるため、環境負荷が少ない点も魅力です。

木酢液の散布

木酢液も害虫の忌避に有効です。数百倍に希釈して散布することで、ヨトウムシ類が近づかなくなると言われています。

ヨトウムシ類の駆除方法

幼虫のふ化前後の駆除が重要

ヨトウムシ類を効果的に駆除するためには、卵の段階での対応が非常に重要です。ヨトウムシ類の成虫は葉の裏に卵を産み付けるため、早期に卵を発見して除去することで、幼虫の大量発生を防ぐことができます。また、ふ化した幼虫が食害し始めた証しとなる白っぽい透かし状の葉を見つけたら、幼虫の集団ごと葉を切り取って処分するのも効果的です。さらに、大きくなった幼虫には効果の薄い農薬散布も、この時期ならば有効です。

若齢期以降の幼虫は捕殺

ふ化直後のヨトウムシ類は集団で食害するものの、以降は散らばって被害を与えます。卵が産み付けられた葉や白っぽく透かし状になった葉を見つけるのと同様に、葉裏をよく観察して、ヨトウムシ類の幼虫を見つけたら捕まえて駆除しましょう。

まとめ

トマト栽培において「ヨトウムシ」は生産者が直面する課題の一つですが、その被害は適切な対策を講じることで大幅に抑えることが可能です。

ヨトウムシ類の防除において重要なのは、早期発見と迅速な対応です。日々の観察を習慣化し、定期的な土壌管理や栽培環境を整備することで、被害の拡大を防ぐことができます。

ぜひ本記事を活用して、大切な作物を守り、安定した収益を実現してください。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

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