日照不足?トマトが赤くならない原因と対策

日照不足?トマトが赤くならない原因と対策

トマト栽培において「日照不足」は、トマト農家が直面する課題の一つです。

本記事では、トマトの日照不足が引き起こす問題やその解消法について詳しく解説します。

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トマトの日照不足とは

トマトの成長における日照の重要性

トマト栽培のみならず、作物の生育において日照は成長を左右する重要な要因の一つです。トマトは本来、太陽光が十分に当たる環境を好む作物であり、日照時間が不足すると植物の生育が弱々しくなって徒長ぎみになったり、収量が低下したりするばかりか、以下のような問題が発生します。

色づき不良

トマトが赤く色づくには、十分な日照が不可欠です。日照の降り注ぐ時間が短いと言うことは、気温も上がりにくく低温になるため、トマトの色づきに影響が現れます。

積算温度とリコピンの生成

トマトが赤くなる要因であるリコピンの生成は、トマト果実の成熟に伴って働く酵素反応によるもので、花が咲いてから色づくまでに積算温度1,000~1,100℃が必要であるとされています。ただし、日照が不足すると、トマト果実の温度も上がりにくくなって、積算温度に達することが難しくなるため、果実が青や黄色のまま成熟しない状態になります。

日照不足が原因の生理障害

日照不足は、トマトにさまざまな生理障害を引き起こします。以下は主な障害の具体例です。

空洞果

果実の内部に空洞ができる状態を指します。外見からは正常に見える場合でも、切ってみると内部がスカスカになっていることがあります。

トマトが十分な栄養を吸収できず、果実の発育が不完全になることが主な原因です。また、トマトトーンなどのホルモン剤の利用は、受精しても果実内に種子を作らないため、果実内のゼリー部や果肉が発達せず空洞果が生まれやすくなります。

芯腐れ果

果実の中心部が黒く変色し、腐敗する状態です。この状態では果実の品質が大きく損なわれ、市場価値が大幅に下がります。

日照不足によって光合成能力が低下すると、植物全体の活力が低くなって、根が衰弱し、養分吸収能力が弱ります。その結果、微量要素の欠乏を起こしやすくなり、植物体内で移行しにくいカルシウムが欠乏状態となって現れることがあります。

尻ぐされ病

果実の尻部が黒く変色して腐る状態です。特に未成熟果実で発生しやすい障害です。

上述の芯腐れ果と同様に、日照不足による光合成能力の低下が、植物の活力を奪って衰弱し、養分吸収能力が弱るために引き起こされます。

花落ち

日照不足によって、果実が小さいまま成長しなくなるばかりか、雄しべ・雌しべの受精能力が低下して落花が増えます。

日照不足に陥りやすい状況

長雨や曇天の多い時期

梅雨や秋雨の季節は、日照時間が短くなって、トマトの生育を停滞させます。

施設栽培における遮光

ビニールハウスや温室などでの栽培では、必要以上な遮光を避け、トマトの生育に合わせた調整が重要です。

植え付け場所の選定ミス

露地栽培では、1日の日当たりを十分に考慮する必要があります。

日照不足の際の対策・日照不足を防ぐ方法

日照の多い・少ないは天候や地域によって異なるため、人為的に管理するのは難しいです。しかし、日当たりの良い場所を確保したり、適切な株間を設けて風通しを良くしたりすることで、生育を弱くすることを回避することは可能です。また、万が一、日照不足になってしまった際は、下記の方法や資材を活用することで改善も見込めます。

弱った生育を助ける

バイオスティミュラント

かん水によって植物に吸収させるものや、葉面に散布することで葉から直接吸収させるものなど使い方はさまざまですが、作物の生育を助ける資材として注目されています。いろいろな種類がありますが、中でも鉄の吸収を促進する資材は有効です。通常、土中に豊富に含まれていても、そのままでは活用できない鉄の吸収を促進し、黄化した葉の葉色改善(ひいては光合成促進)や根張り強化による活着促進など、生育を助けるさまざまな効果を期待できます。

人工的な光補給

植物育成用LEDライトの活用

植物育成用LEDライトは、植物の成長に必要な特定の波長(赤色光と青色光)を効率的に供給することが可能です。

反射シートを用いた光の調整

反射シートは、太陽光や人工光を効率よくトマトに届けるための道具です。特にトマトの下部や影になりやすい部分に光を行き渡らせるのに役立ちます。

まとめ:日照不足を克服して健全なトマト栽培を

トマト栽培における日照不足は品質や収穫量に影響を与える大きな課題です。ただし、適切な対策を講じれば問題を軽減することが可能です。本記事の情報を活用し、実り豊かなトマト栽培を実現してください。

執筆者情報

株式会社ユニリタ アグリビジネスチーム

株式会社ユニリタ
アグリビジネスチーム

ユニリタのアグリビジネスチームのメンバーが執筆しています。

日々、さまざまな農家さまにお会いしてお聞きするお悩みを解決するべく、農業におけるデータ活用のノウハウや「ベジパレット」の活用法、千葉県に保有している「UNIRITAみらいファーム」での農作業の様子をお伝えしていきます。

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